危機感
身体が思うように動かない。力が入らなかったり、感覚がおかしかったり。
仕事に行くどころではなくベッドに横になってばかり。
はやく元気になってバリバリ働きたいのに。
殴られたような鈍い痛みが頭に響く。
一体私はどうしちゃったんだろう。
奇妙な浮遊感と頭の芯に触れられるような不快感がずっと続いてる。
はやく治ってほしい。お願いだから。
懺悔の缶ビール
薬を飲んですぐに安静にしたのになかなか寝付けないことに苛立った私はおもむろに起き出して、冷蔵庫からフルーツサイダーと缶ビールを取り出した。
フルーツサイダーは糖分でアルコールの分解を助けてくれて明日の朝少しは楽かなと思って。単なる気休めだけど。
本当はビールより日本酒や梅酒が飲みたいのだけど、家にあるのがこれしかないので我慢する。
飲めば少しはボンヤリして眠れるんじゃないか。そんな期待を込めながら缶を開けた。
小さな我が家は母の部屋と間続きで襖も閉めずに夜も過ごす。だから缶を開けたときのパキッという音にひどく怯えた。隠れてやっていることだから。後ろめたさが惨めさとなって染み渡る。一口目の味はよく分からなかった。
良心的な医師の元、規定の処方薬を正しく服用しているのだけど、なんとも言えないもどかしさと物足りなさを感じる。
恐らくそうしていなければもっと酷い状態なのに、今の程度で済んでいるだけでも御の字であるはずなんだろう。
だけど私はもっと上を求めてしまう。
もっとバリバリ働けるようになりたいし、記憶力や集中力も元に戻って、夜はグッスリ眠りたい。
たったそれだけではあるんだけど、私がそれを求めてしまうから色々と不都合が起こってしまうのだ。
私には不釣り合いな望みなのかもしれないと幾度となく絶望した。
フツウに暮らす幸せを私は望んではいけないのだろうか。望んだとしても、身体が先に悲鳴を上げて壊れてしまう。自覚としてはまだまだ行けると思っていても、この程度はストレスじゃないと思っていても、身体が様々な形で拒絶反応を起こす。
そうやっていつも不本意なブレーキに邪魔されて、いつしか夢とか将来とかを思い描くのも忘れ、ただ目の前の明日の我が身をどう生かしていくかを考えながら社会の沼地を泳いでいる。
いっそこの泥に溶け込んで形すらなくしてしまえれば、と思うこともある。
だってこんな世界で将来に希望を持てと言う方がどうかしてる。
貯金もなくまとまった収入もなく、体調の良いときだけしか風俗勤務はしていないので、日給は高くとも月収換算すればそれほどでもない。
役所の自立支援医療(精神通院医療)制度を受けているおかげで高い薬価の処方でもなんとか続けられているけれど、この先何かあったら精神障害者手帳の申請して障害者年金をもらって暮らすしかないのか、はたまた生活保護のお世話になるのだろうかと、そんなことをよく考える。
助けてくれる人はそりゃあいるかもしれない。これでも少ないながらも友人はいる。でも困窮した生活から引っ張り出してくれるほど手を焼いてくれる人は居るだろうか?
そもそも、助けて欲しい時に助けてくれる人がいつも必ず居るとは限らないのだ。
だから、なんでも自分でなんとか出来るようにならなくちゃいけない。
元々結婚も出産も望んでいない私は「おひとり様」のエリートコースを歩まんとしている訳で、家族や親族の援助やサポートも期待できないどころかむしろする側になりかねないし、そんな状態でサバイブしていくにはいまの私では余りにも弱すぎて頼りない。
とまぁ、こんな風に思い詰めてるから余計に深刻になりすぎちゃって気に病んでしまうんだろうけど。
でも、私を助けられるのは私しかいないんだよ。
手伝ってくれる人は運がよけりゃ居るかもしれないけど、決して救ってくれることはない。
究極のところで私を救えるのは他でもない私でしかないんだよ。
なのに、情けないねぇ。本当に困った子だよ。
どうしたらいいのかな。ねぇ、どうしたらフツウに生きられるの?
全て放り投げてしまいたい
メイクもして、荷物も準備して、あとは髪を纏めてコートを着て出るだけなのに、たったそれだけなのに、もう一時間も動けずにいる。
事務所には遅刻の連絡をしたけれど、やっぱり休むと連絡しようかと思いながら、デモデモダッテを繰り返してる。
ここ最近鬱の症状が良くない気がしている。
多分仕事のせいもあるんだろうけど。
本当は風俗じゃなくフツウの仕事がしたい。
でもフツウの仕事は出来ないから風俗をやってる。そしてその風俗ですら今こうして行けない状態になってる。
発狂できそうなほど脳味噌は混乱している。
仕事行ってお金欲しいけど仕事行きたくない。
なんかもうなんもかも辞めてしまいたい。
いっそ全て捨てて泥のようになってしまいたい。
だけどギリギリのところで理性がそれを止めてる。
腕を切るのも死にたがるのもだめ。
何か間違いを犯すよりは何もしない方がマシ。
そんな葛藤もこうしてここに書かなければ誰にも知られることはない。
枕元のクマのぬいぐるみだけが、私の醜態をじっと見ている。
未だ仕事始めならず
仕事に行きたくない。行く気になれない。
風俗の仕事は何より身なりが重要だ。ムダ毛の処理はもちろん、肌のコンディション、メイクの出来、小綺麗だけど華美すぎない服装、プレイの邪魔にならず乱れにくいヘアスタイル。
自分が商品であり仕事中は常に「いい女」で居なくてはならない。それがうまくやっていくための秘訣。
でもそんな自分を作るのも演じるのも疲れてしまった。求められるものと応えられる余裕が釣り合わなくなってキャパオーバーになっている。
働けばお金がもらえるしお金は欲しいのに働きたくない。演じるのがつらい。
そんなこんなで今月はまだ一度も出勤していない。早くしないと生理が来て働きたくとも働けなくなってしまう。
多分PMSの影響がもう来てるんだろう。憂鬱で堪らない。
明日こそ出勤しないと。だけど行きたくない。でも行かないと。
どうか明日なんとか出勤出来ますように。
どうか無事出勤してお仕事いただけますように。
もっと心の強さが欲しい。こんな弱い自分が心底嫌いだ。強くなりたい。
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優しくされたい
オナクラ店のお客さんも、デリヘル店のお客さんも、とどのつまり誰かに優しくされることに飢えているのだと思う。
そして優しさを売る風俗嬢も誰かに優しくされることに飢えている。
だからそこからホストに走る人もいるし、逆にホストの優しさを買うために風俗を始める人もいる。
多分みんながみんなそうではないとは思うけど、そういう人は少なくない気がする。
かく言う私も結局誰かに優しくされたいって願望が根本にあって、それを好きな役者につぎ込んだり執事喫茶なんかに行ってみたりして、控え目だけど代替で補完しようとしている。
この日記だって多分、誰かに優しくされたくて書いている。
本当はたくさん甘やかして欲しいし、もっと甘えることを許されたい。
人は誰かに優しくされないと誰かに優しくなれない。
誰かの優しさに飢えてる私は、メンタルの調子も悪いので習い事を欠席し、仕事も予定を白紙にした。
気持ちに余裕が無くてつらい。
赦されたい。何に?何を?
私だけが知っている全てはここに書くまでもない。
神がいるなら少しだけで良いから助けてほしい。
安心をください。