泥より出でて泥に染まらず

底なし沼で立ち泳ぎしてるアラサー女のぼやき。

風俗店にサンタクロースは来ない

私は超ライト風俗店で働いている。今も店の待機室でソファに寝転がりながらぼんやりとお客さんを待っている。


うちのお店は大雑把にいうといわゆるオナクラとかの部類に入る。サービス内容がライトな分、お客さんも多くはない。深夜帯ならもう少しはお客さんもいるのかもしれないけれど、私は早い時間にしかいないので分からない。因みにお給料もライトだ。


それでも私がこの仕事をしているのは、今の私にはこの仕事くらいしか出来ないからだ。


風俗嬢のメンヘラ率は今更説明するまでもないと思う。そして私ももれなくメンヘラだ。

メンヘラという言葉は個人的に好きではないし、私自身は違和感を覚えるのだけど、人に説明するには楽で分かりやすいラベリングだからここでは使うことにする。


そのメンヘラである私は、ストレスや疲労で自律神経のバランスを崩しやすく、時には低血圧で急に倒れたりするため、なかなかフルタイムで働くことが出来ない。

昔は週5で会社員として働けていた時期もあったけど、結局あまりに体調が悪くなってしまい、自宅でほぼ寝たきり状態が続いたため辞めざるを得なかった。


大学受験期にうつ病に悩まされ、なんとか入ったFラン大学もうつ病が原因で中退し、フリーターとして水商売を含むアルバイトを転々とし、一度は就職するものの1年も満たずにまたうつ病で退職。実家で療養をしながら家族にも友人知人にも内緒で風俗店に勤務する29歳。それが私だ。


風俗店はメンヘラに優しい。

当日欠勤しても連絡さえすれば怒られないし、遅刻をしてもまあなんとかなる。

いや、この店が優しすぎるだけで他のお店は違うのかもしれないけど、大抵ほとんどのお店がとにかく女の子を大事にして、長くたくさん働けるように優しく接してくれる。

まあ裏で「あの野郎また休みやがってクソが」なんて言われてるのかもしれないけど。知らないところで言われる分には気にしないからいいや。


でもこんな仕事、いつまで続けられるんだろうかと思う。

仕事自体は内容がライトだからそこまで負担にならないし、お客さんも草食系というかおとなしい感じの人が多いからストレスも少ない。

だけど自分自身が商品なのだ。その商品も、どんなに気を使ってもどんどん古くなっていく。


実年齢29歳、源氏年齢26歳。風俗業界では人妻枠に片足を突っ込んでいる。

特別可愛いわけでもないし、胸が大きいわけでもない。痩せてはいるけれど、どちらかといえば貧相と言った方が正しい。

これ以上自分を商品にしていつまで「カノンちゃん(仮名)26歳」を演じていられるか。

ほとんどいつも先が見えない不安と隣り合わせでいる。


今日はまだ一人もお客さんについていない。

やっぱり給料日前のクリスマスイブに来る人の方が稀なのかな。

仕事が楽な分、収入がないのもつらい。このままだと交通費分マイナスで終わる。


夢も希望も抱いたところでどこか虚しい。

今はサンタさんよりもお客さんに来て欲しいし、プレゼントがもらえるなら普通の健康が欲しい。