睡眠薬はもう飲んだ
「どうやったら眠れるの?」
「目を閉じたら眠くなって、そのうち眠れるさ」
「でも、目を閉じるのが嫌なの」
「どうして?楽しい夢が見れるかもしれないじゃないか」
「だって、目を閉じたら見えてしまうんだもの。今日あった色んなこと、嫌なこと、これから先の不安なこと、怖いこと、悲しいこと…」
「だから目を開けて、違うものを見続けてるのかい?」
「そう、ずっと逃げてるの。こうして他のものを見ている間は心配ないから」
「でも、それだといつまで経っても眠れないだろう?」
「だから困ってるの。いっそ気絶してしまえばいいくらい。…ねぇ、もうそろそろ飽きてきちゃった。今度は何を見てればいいかな?」